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祈りを捧ぐ。(フィルイア?
2007-05-26 Sat 20:38
初、イアン受け小説☆(早いな
出てくる歌は、谷川俊太郎さん作詞の「そのひとがうたうとき」から拝借。
いい歌だと思うよーうん。
というか、不思議な歌かなぁ・・・悲しい歌でもあるのかなぁ。
でもめっさ好きです。

時期はロリマーへ向かう船の中。オルキに襲われる(←笑)前です。

そのひとがうたうとき
そのこえはとおくからくる
うずくまるひとりのとしよりのおもいでから
くちはてたたくさんのたいこのこだまから
あらそいあうこころとこころのすきまから
そのこえはくる



ロリマーへの半日の航海。
波は穏やかで、潮風も心地よく、船を通り過ぎてゆく。

船の隅。
小さな、歌が響いている。
それに気づいたフィルはその声のする方へ歩く。
そこには巫女ではなく、護衛の少年。勇者一族の少年だった。

ここは海の上、巫女達も船内に入っているので、
静かな辺りには、小さく、呟くように歌われているその歌が響いていた。



「・・・なんの歌だ?」

フィルは少年に問いかける。
海をずっと見つめていた少年は、澄色の髪を風で揺らし、
こちらに振り向いた。
そして向けられたのはいつものようなはにかんだ笑顔ではなく、
淡く微笑んだ、表情だった。


「あ・・フィルさん、」
「少なくとも私は聞いたことのない歌だが、」
「ああ、この歌は・・・俺が小さい頃に誰かから教えてもらった歌です」
「誰か?」


イアンにしては珍しい消極的な物言いに、フィルは眉根を寄せた。
こちらの反応が伝わってしまったのか、目の前の少年は焦りだしている。

「あ・・なんというか・・・お、覚えてないんです・・・」
「そうか、」
「でも、俺がイルージャに来る前からだと思います。
前にも無意識に歌ってたことがあって・・・ニコ様にも聞かれたことが・・・」


あはは、と少年は苦笑いを浮かべる。


「歌ってみてくれ」
「え、」
「続きが気になるだろう」
「あ・・・はい」


こほん、と息を整えて、イアンは歌いだす。
さっきの小さな呟きで、歌いだす。



そのこえはもっととおくからくる
おおむかしのうみのうねりのふかみから
ふりつもるあしたのゆきのしずけさから
そのひとがうたうとき
わすれられたいのりのおもいつぶやきから
そのこえはくる

そののどはかれることのないふかいのど
そのうではみえないつみびとをだきとめる
そのあしはむちのようにだいちをうつ
そのめはひかりのはやさをとらえ
そのみみはまだうまれないあかんぼうの
かすかなあしおとへとすまされる

そのひとがうたうとき
よるのなかのみしらぬこどもの
ひとつぶのなみだはわたしのなみだ
どんなことばももどかしいところに
ひとつのたしかなこたえがきこえる
だがうたはまたあたらしいなぞのはじまり

くにぐにのさかいをこえさばくをこえ
かたくななこころうごかないからだをこえ
そのこえはとおくまでとどく
みらいへとさかのぼりそのこえはとどく
もっともふしあわせなひとのもとまで
そのひとがうたうとき



小さな呟きが、終わる。
歌い終えたイアンは少し気まずそうな顔をしていたけども。



「不思議な歌だな・・」
「はい。俺もそう思います


その喉は枯れることのない深い井戸
その腕は見えない罪人を抱きとめる
その足は鞭のように大地をうつ
その目は光の速さをとらえ
その耳はまだ生まれない赤ん坊の
かすかな足音へすまされる

そのひとがうたうとき
夜の中の見知らぬ子供の
一粒の涙は私の涙、


まるで、祈りみたいですね、」


イアンは呟いた。
空のように青い瞳は、今同じくらい青い海へと向いている。
でも、ほんとうに其処を見ているのか、フィルにはわからなかった。
いつも強い光を宿した瞳は、今は淡い灯火へと姿を変え、
弱く波打つ海原を、ただずっと、見ていた。



「祈り、」
「はい。ひとを、救うための祈り」

青の瞳は今は閉じられ、少年は思いに耽っている。
フィルはただそれを見ていた。
そして不意に瞳は開かれ、こちらを向いた。
イアンはいつものはにかんだ笑みを浮かべ、言う。


「はは・・・すみません、こんなことにつきあわせちゃって。
俺、ちょっとお二人の様子、見てきます!」


たたた、と小走りにイアンは船室へと足を運ぶ。
ああ、とだけ返すと、またフィルは黙ってそれを見ていた。
フィルは瞳を閉じ、さきほどの歌の歌詞を思い出す。
そしてイアンが言っていたことも。



「祈り、か・・・・」



ひとを救うための祈りだと言っていた。

でもそれは、誰か他の者を救うためのものなのか、
それとも
ただ、自分を救うためのものなのか、
いつもならば前者だと思うのだろう、でも今は違った。

その言葉を言ったときのイアンの表情が頭から消えずにいる。
いつもとは違う光を宿した青瞳。
それが判断の邪魔をした。


ひとを、救うための祈り。
フィルには、其れがなんなのか、わからなかった。




祈りを捧ぐ。

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